研究課題/領域番号 |
15K07120
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
荻原 克益 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (00422006)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 排卵 / 組織修復 / 卵巣 / メダカ |
研究実績の概要 |
受精可能な卵母細胞が卵巣腔へと放出される過程が排卵である。排卵が起こるためには、卵巣の最外層にある被膜と濾胞膜と呼ばれる卵母細胞を包む被膜の分解が必要となる。排卵後、分解された最外層被膜の修復が開始され、その後、排卵により卵巣内に取り残された濾胞膜の分解が進行する。本研究では、メダカ卵巣を用いて被膜の修復と濾胞膜の分解機構を分子レベルで解明することを目的に研究を行っている。昨年度の解析から、N-cadherinが開口部の修復に関与することが示唆されたので、卵巣培養系にN-cadherinの特異的抗体を添加し、開口部の修復の有無を確認したが、開口部の修復は阻害されなかった。今後は、細胞接着因子の阻害剤や細胞分裂を阻害する阻害剤を添加し、開口部の修復の有無を確認する予定である。 排卵1時間後の卵巣を、12~72時間の範囲で器官培養した後、卵巣内の残存濾胞膜の有無を組織切片で確認した。その結果、予想に反して72時間培養した卵巣内でも残存濾胞膜の存在が確認された(in vivoでは、排卵20時間後には残存濾胞膜の消失が確認されている)。そこで、黄体形成ホルモンLHが作用した後の卵巣(排卵8時間後)を器官培養し、残存濾胞膜の有無を組織切片で確認したところ、その消失が確認された。以上の結果から、残存濾胞膜の分解には、LHで誘導される何らかの因子が関与することが示唆された。今後は、LHによって誘導され、残存濾胞膜の分解に関与する因子の探索を行うとともに、昨年度の解析から残存濾胞膜分解に関与することが示唆されたPAI-1やplasminogenなどについて、それらの特異的抗体を器官培養系に添加することで、これらの因子の関与の有無を調査する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度の遅れのため、今年度もやや遅れが生じている。また、研究計画と異なる研究結果が得られたため、若干の方向修正を行う必要が生じたことから、年次計画より多少の遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の一部の変更に伴い、着手できなかった本年度予定分の研究計画については、次年度の計画に先立って実行する予定である。首尾よく研究が進行したら、次年度の計画にも着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の一部変更に伴い、当初予定していた解析等を一部実施しなかったため。また、予定していたよりも学会への参加回数が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
変更後の研究計画に必要な解析に使用する。
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