研究課題
本研究課題は、顎や硬骨を持たない原始的な脊椎動物であるヤツメウナギを用い、ほ乳類において骨代謝に関わるホルモンの始原的機能を明らかにすることを目標としている。昨年度は、カルシトニン以外の血中カルシウム調節ホルモンの解析を実施した。今年度は、近年カルシウム調節ホルモンとして注目されているメラトニンについて解析した。ヤツメウナギにはメラトニン産生器官である松果体が存在し、メラトニンを放出することが知られており、メラトニン合成酵素遺伝子も明らかになっている。今回、ヤツメウナギにおいてメラトニン受容体を同定した。ゲノムデータベースよりメラトニン受容体を検索した結果、候補遺伝子を得た。そして分子系統解析により、顎口類メラトニン受容体と同じグループに属することを見出し、この候補遺伝子がメラトニン受容体であることを確認した。さらにメラトニンの投与実験を実施した。ヤツメウナギを淡水に1日静置し、メラトニンを10mg/BW kg になるように投与、24時間後に採血、血中カルシウム濃度を測定した。なおメラトニンを溶解する1% DMSO 入りの蒸留水を投与した個体群を対照群とした。その結果、メラトニン投与による血中カルシウム濃度の変動に統計的有意差は認められなかった。硬骨魚類のキンギョではメラトニン投与により血中カルシウム濃度が低下するが、応答性が高いのは繁殖後期である。今後は、ヤツメウナギの性成熟ステージに注目して投与実験を実施する必要がある。
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