研究課題/領域番号 |
15K07127
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金森 章 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (40324389)
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研究分担者 |
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助教 (60263125)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 性分化 / 生殖細胞 / 卵形成 / 転写因子 / CRISPR/Cas9 / Pachytene check point |
研究実績の概要 |
脊椎動物の生殖巣性分化は体細胞(上皮細胞)での性決定遺伝子の発現により開始されるが、特定の細胞種のみの性転換はほとんど見つからない。このように全体に協調して進行する性分化過程では、細胞間での性特異的な情報伝達が不可欠と考えられるが、それをになう分子・細胞機構の詳細はまったく不明のままである。そこで本研究では、1) 生殖細胞で発現する卵形成のイニシエーター転写因子 figα の 機能欠損変異メダカを、新規ゲノム改変技術、CRISPR/Cas システムにより作出し、2) 卵巣分化過程の表現型を生殖細胞、体細胞それぞれの形態及び遺伝子発現の両方から詳細に解析し、卵巣形成過程での細胞間情報伝達を知ることを目的とする。 2017年度までにCRISPR/Cas9により3系統のnull変異体を得た。雄では顕著な表現型は無いが、雌では卵形成がdiploteneの前、pachyteneで停止していた。この表現型は卵母細胞に備わるpachytene check pointが働いた時のものに酷似していた。そこでさらに変異体の表現型を減数分裂時のシナプトネマ構造体のSYCP1及びSYCP3抗体、DNAの二重鎖切断を認識するγ-H2AX抗体により染色し、停止した卵母細胞の状態を詳細に調べた。その結果パキテンチェックポイントを起動させうるダブルストランドブレイクの未修復や、対合の異常などは確認されなかった。よって、この表現型はパキテンチェックポイントとは異なる、未知の経路により引き起こされていることが示唆された。くわえて停止した卵母細胞の多くはアポトーシスには入らないことがTUNEL法によりあきらかとなった。 卵母細胞はdiplotene後の卵黄形成にはまったく入らなかったが、生殖巣の構築は卵巣腔の分化より正常に卵巣に分化していることもわかった。 遅くなったが論文の投稿準備ができた。
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