研究課題
哺乳類の精子形成において、半数体円形精子細胞は、劇的な形態変化を伴う変態(Spermiogenesis 精子変態)を行いながら、伸長精子細胞から精子へと分化する。申請者は、伸長精子細胞に特異的に構築される構造体 Manchette(マンチェッタ)に局在する未解析分子 Tmco5A をコードする遺伝子をサブトラクション法によってクローニングした。TMCO5A について、その分子局在、細胞内動態、相互作用分子の探索を行うことが本研究の目的である。平成26~28年度までの研究において、TMCO5Aが伸長精子細胞のManchette に局在すること、つまりTMCO5Aは Manchette微小管の結合蛋白質であることが免疫蛍光抗体法によって示唆された。しかし、TMCO5A をCOS7培養細胞に発現させたところ、細胞骨格である微小管と共存するのではなく、核膜・小胞体膜に局在することが判明し、TMCO5Aの局在や挙動の再検討を行った。共焦点レーザー顕微鏡の解析により、TMCO5Aは Manchette 微小管に近接して存在するものの、その局在は完全には一致せず、Manchette 微小管よりも核膜側に局在することが明らかとなった。平成29年度において、Nesprin1とTMCO5A、PNA-lectinとTMCO5Aによる二重染色を行うとともに、免疫電顕による検討を行った結果、TMCOO5Aは微小管と核膜の間に局在することを確認した。現在、核膜と微小管の結合を仲介する分子SUN4 に対する抗体を作成中であり、この抗体を用い多研究を継続中である。
3: やや遅れている
研究データの一部見直し、および追加実験を行ったため
現在、核膜と微小管の結合を仲介する分子SUN4 に対する抗体を作成中であり、この抗体を用いてTMCO5A分子と核膜および Manchette 微小管の位置関係を詳細に分析する。そのため、研究継続を申請し、承認されている。
TMCO5Aについて、当初伸長精子細胞の微小管構造体(マンチェット)に局在する分子との仮説に基づいて研究を進めていたが、より高分解能の共焦点レーザー顕微鏡観察や培養細胞への遺伝子導入実験により、TMCO5Aの局在が微小管と完全に一致しないことが判明した。この事を検証するために追加実験を行うとともに、学会発表および論文作成のため、実験期間の延長が必要となった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (9件) 備考 (1件)
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