研究課題
本年度は、ARα/ARβ二重変異体の表現型を中心に解析し、ARの雄性二次性徴形質発現に果たす役割の全容を解明した。AR二重変異体雄では精巣は形成されるが、雄に特徴的な外部形態である尻鰭の乳頭状小突起、背鰭の切れ込み、および雄性性行動であるCourtshipが欠失するなど、脱雄性化を示した。よって、ARシグナリングが真骨魚類の雄性二次性徴発現に必須の役割を果たすことが明らかとなった。さらに、AR二重変異体雄の精子形成能について解析した結果、正常なSpermatidesが形成されていることから、ARシグナリングは精子形成に必須ではないことが示唆された。ARα変異体雄、ARβ 変異体雄は求愛行動を示し、野性型雌と自然交配が可能であるが、受精率が野性型雄と比べて著しく低い。しかし人工受精では野性型雄と同等の受精率を示した。精子運動能解析装置CASAを用いた解析からも、運動精子率や運動速度に異常は認められなかった。AR変異体では輸精管の形態に異常を検出しており、精子は分化するか放精が抑制されている可能性が考えられた。メダカおよびカダヤシの尻ヒレで二次性徴形質発現に必須のシグナルとして同定したアンドロゲンエフェクアー因子についてソードテールフィッシュのソード形成過程に果たす役割を解析した。これらの因子はソードの伸長に必須の役割を果たすのみならず、メラボフォアの分化・増殖に関わっているなど、生物種を超えた、アンドロゲンエフェクターの保存性と機能の相違を見出した。
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Nat Rev Urol
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Dev Growth Differ
巻: 59 ページ: 552-561
10.1111/dgd.12386