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2016 年度 実施状況報告書

睡眠機能を調節する視床下部MCH神経回路の特定

研究課題

研究課題/領域番号 15K07140
研究機関東海大学

研究代表者

寺尾 晶  東海大学, 札幌教養教育センター, 教授 (10451402)

研究分担者 岡松 優子  北海道大学, 獣医学研究科, 講師 (90527178)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードMCH / 睡眠 / 絶食 / 断眠 / 海馬 / 記憶
研究実績の概要

申請者らは、視床下部外側野を起点とするメラニン凝集ホルモン(melanin-concentrating hormone; MCH)神経系を特異的かつ後天的に脱落可能な遺伝子改変マウスを用いて、MCH神経系がノンレム睡眠調節機能の正常な維持に重要であることを見出した。この結果を踏まえ、今年度は以下の結果を得た。
1)MCH神経系はエネルギー代謝と睡眠の両方を調節する事が知られている。MCH神経系の恒常性維持における役割を明らかにすることを目的として、以下の実験条件おける睡眠の量的・質的差異をMCH神経脱落群とMCH神経非脱落群(対照群)マウスで比較した。
・1晩絶食後の再給餌期(摂食欲求を高めた状態)
・6時間断眠後のリバウンド睡眠期(睡眠欲求を高めた状態)
その結果、今回実施した条件においてMCH神経系はノンレム睡眠、レム睡眠の恒常性維持機構のどの側面(開始、安定性、質)にも関与していないことが明らかとなった。
2)MCH神経系の主要投射部位には記憶中枢である海馬が含まれること、睡眠と記憶には強い関わりがあることから、MCH神経系は海馬依存性の空間認知記憶に対しても影響を与えている可能性がある。そこでまず、新規物体認知試験により記憶能力を評価したところ、MCH神経脱落群が70.7%と対照群の60.7%に対して有意に高い値を得た。この結果は、MCH神経系が、空間認知記憶を負に制御する役割を持っている可能性を示唆する。今後は空間認知機能を評価する行動試験を複数行うことでMCH神経と記憶制御の関係を調べる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

MCH神経系は、今回調べた実験条件においてはノンレム睡眠、レム睡眠の恒常性維持機構のどの側面(開始、安定性、質)にも関与していないことが明らかとなった。一方でMCH神経系が、空間認知記憶を負に制御する役割を持っている可能性を示す事が出来た。今後は、MCH神経と記憶制御の関係を行動学実験にて明からかにする予定である。

今後の研究の推進方策

MCH神経脱落に伴う記憶能力の変化を調べるために、新規物体認知試験に加えて、文脈的恐怖条件付け試験を行う。MCH神経脱落に伴う不安様行動を調べるために、オープンフィールド試験と高架式十字迷路試験を行う。

次年度使用額が生じた理由

これまで使用してきた分光光度計が突然故障して使用不能となった。分光光度計は試薬の調製や資料の分析定量に欠かせない生化学的分析機器である。当該研究計画を予定通り遂行するために、90万円の前倒し請求を行い、代替機を購入した。

次年度使用額の使用計画

次年度研究計画に計上していた物品費40万円は確保してあるので、予定通り研究計画は実施できる。次年度研究計画のうち、旅費と人件費・謝金を見直す。国際学会出張旅費は所属大学の渡航費補助財源を切り替える。学生に委託していた作業については全て自分で実施する事により,人件費・謝金を削減し、研究計画の進捗には影響を与えないように配慮する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Royal jelly ameliorates diet-induced obesity and glucose intolerance by promoting brown adipose tissue thermogenesis in mice2017

    • 著者名/発表者名
      Yoneshiro T., Kaede R., Nagaya K. Aoyama J., Saito M., Okamatsu-Ogura Y., Kimura K., and Terao A.
    • 雑誌名

      Obes Res Clin Prac

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1016/j.orcp.2016.12.006

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Retinoic acid modulates lipid accumulation glucose concentration-dependently through inverse regulation of SREBP-1 expression in 3T3L1 adipocytes2017

    • 著者名/発表者名
      Abd Eldaim, M. A., Okamatsu-Ogura, Y., Matsuoka, S., Kamikawa, A, Ahmed, M., M., Terao, A., Nakajima, K., and Kimura, K.
    • 雑誌名

      Genes Cells

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 不眠症治療薬の薬理~歴史的変遷と今後の展望~2016

    • 著者名/発表者名
      寺尾 晶
    • 雑誌名

      函館病院薬剤師会報

      巻: 34 ページ: 9-13

    • 査読あり
  • [学会発表] Conditional ablation of melanin-concentrating hormone neurons attenuate NREM sleep in mice2016

    • 著者名/発表者名
      Terao, A. Ueno, T. Kimura, K. and Yamanaka, A.
    • 学会等名
      23rd Congress of the European Sleep Research Society
    • 発表場所
      Bologna Congressi
    • 年月日
      2016-09-14
    • 国際学会
  • [学会発表] 視床下部メラニン凝集ホルモン産生神経の選択的脱落はノンレム睡眠を減少させる2016

    • 著者名/発表者名
      寺尾 晶、上野貴文、岡松優子、木村和弘、常松友美、山中章弘
    • 学会等名
      第41回 日本睡眠学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル東京
    • 年月日
      2016-07-07
  • [学会発表] 視床下部神経ペプチドによる睡眠覚醒調節2016

    • 著者名/発表者名
      寺尾 晶
    • 学会等名
      第24回 北海道睡眠研究会
    • 発表場所
      京王プラザホテル札幌
    • 年月日
      2016-04-23

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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