研究実績の概要 |
行動選択は幅広い種で観察される重要な行動様式である。応募者らは刺激に合わせて行動を選択する仕組みに関して研究を行ってきた(Fukabori, 2012; Nishizawa,2012)。この行動選択の仕組みには線条体が重要な働きをしている。線条体は主に大脳皮質と視床から情報が入力され、淡蒼球、脚内核、黒質網様部などの脳部位に出力している。本研究では視床から線条体に入力される情報に焦点を当てて研究を進めている。 これまで頭部拘束型オペラント実験装置での研究と並行して、Med Associates社製のオペラント実験装置を用いて行動選択にける視床-線条体路の役割を検討した。視床髄板内核の一つ外側中心核から線条体への投射を経路選択的に除去した時、学習した行動選択の正確さが障害されることが分かった。また、行動選択を行うための実行時間は遅延されることが分かった。さらに、この経路は行動選択のルールが変更になったときにも重要であることが分かった。外側中心核から線条体への投射経路が除去された動物では、今まで報酬をもらえていたレバーが他のレバーに変更されたときに、その行動を変えるためにより多くのトレーニングが必要であった。刺激に応じた行動選択から、場所に応じた行動選択にルールが変化した場合でも、行動を変えるためにより多くのトレーニングを必要とした。 さらに、線条体の神経活動を薬剤によって抑制し、行動選択への障害を調べた。この結果から、線条体内側部の神経活動が抑制されると、行動選択が著しく障害されることが分かった。
|