研究課題
本研究は、ゼブラフィッシュ発生過程における転写活性化を可視化し、それに伴うヒストンの翻訳後修飾の変動を計測することで、転写活性化におけるヒストン修飾の意義を明らかにすることを目的としている。平成28年度は、胚ゲノム活性化に伴うヒストンH3K27アセチル化の上昇が、転写活性化に依存しているかどうか調べるため、転写活性化を阻害する薬剤(フラボピリドールおよびアルファ-アマニチン)を1細胞期に添加した胚を用いてFab-based Live Endogenous Modification Labeling(FabLEM)法を行った。アルファ-アマニチンは細胞への浸透が悪いため蛍光標識Fabとともにマイクロインジェクションにより導入した。その結果、アルファ-アマニチンやフラボピリドールにより転写活性化を阻害した胚でも、H3K27acレベルは高いまま維持されていた。これまでの結果(H3K27アセチル化は転写活性化よりも先に上昇する)と合わせると、H3K27アセチル化がグローバルレベルで転写活性化を促進している可能性が考えられる。さらに、活性化型RNAポリメラーゼは、転写活性化された胚の核内で一様ではなく一部に集積しているが、256細胞期で初めて核内でfociを形成することを見出した。このfociは、最初2つ現れ、発生が進むにつれて数が増えた。またfociそれぞれの大きさは小さくなった。今後は、アセチル化の増減を引き起こす薬剤を添加して転写活性化への影響を調べるとともに、fociに濃縮されるヒストン修飾についても調べる予定である。
2: おおむね順調に進展している
胚性ゲノム活性化に伴うヒストン修飾動態について、おおむね順調に解析が進められている。
アセチル化の増減を引き起こす薬剤を添加して転写活性化への影響を調べるとともに、fociに濃縮されるヒストン修飾についても調べる予定である。
ゼブラフィッシュ集合水槽の購入を検討していたが、平成28年度は飼育個体数が予想よりも低く抑えられたため、新たな水槽の購入を見送ったため。
平成29年度は新たな集合水槽を購入する予定である。
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Jouenal of Molecular Biology
巻: 428 ページ: 3885-3902
https://doi.org/10.1016/j.jmb.2016.08.010