研究課題
本研究は、ゼブラフィッシュ発生過程における胚ゲノムの転写活性化(Zygotic genome activation; ZGA)を、抗体由来の蛍光生細胞プローブ(Ser2リン酸化型RNAポリメラーゼII抗体抗原結合断片;RNAP2Ser2 Fab)により可視化し、それに伴うヒストンの翻訳後修飾動態を計測することで、転写活性化におけるヒストン修飾の意義を明らかにすることを目的とした。平成30年度は、ゼブラフィッシュ胚においてZGAに先んじて高発現することが知られているマイクロRNA(miR-430)に着目し、転写産物の精細胞イメージングを試みた。既報(Hadzhiev et al., Nat Commn, 2019)をもとに、miR-430をターゲットとするモルフォリノヌクレオチドを作製した。3’末端に導入したアミノ基にCy3-NHSエステルを反応させ、miR-430モルフォリノ(miR-430 MO)のCy3標識を行った。Cy3標識miR-430 MOとAlexa Fluor 488標識RNAP2Ser2 Fabを同時にゼブラフィッシュ初期胚に導入したところ、これまで観察されていたRNAP2Ser2 Fab fociとmiR-430 MOの局在が一致した。また、RNAP2Ser2 fociの集積動態について詳細な解析を行ったところ、fociのヒストンH3アセチル化(H3K27ac)レベルが十分に高くなって初めてRNAP2Ser2phが集積し始めることが示唆された。以上の結果から、ゼブラフィッシュZGA初期において高発現するmiR-430遺伝子領域にはまずH3K27acが集積し、アセチル化が十分なレベルに足した後に活性化型RNAポリメラーゼIIの集積が始まることが考えられた。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 オープンアクセス 2件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
bioRxiv
巻: 601393 ページ: -
https://doi.org/10.1101/601393
巻: 234112 ページ: -
https://doi.org/10.1101/234112
Methods in Molecular Biology
巻: 1861 ページ: 91-102
10.1007/978-1-4939-8766-5_8.