本研究では、カメ類の代表種からミトコンドリアゲノム全塩基配列と核遺伝子に関するオーソロガスcDNA塩基配列データセットを取得し、以下の諸点を明らかにした。1)カメ類の様々な系統で、ミトコンドリアタンパク質遺伝子の読み枠に新しい翻訳フレームシフトを発見し、フレームシフト部位におけるmRNA構造上の特徴を示した。2)カメ類の分子進化速度はカメ類全体で一様に低下しておらず、カメ類の系統ごとに異なる。3)系統的有用度の極大値を示す年代域に関して、多くの核遺伝子はミトコンドリア遺伝子よりも大幅に古い。4)カメ類の高次系統解析に適した単一コピー核遺伝子の候補を50個以上見出した。
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