脊索動物の進化は、繊毛を使って遊泳する幼生から、筋肉を備えた尾を使って遊泳するオタマジャクシ型の幼生の出現に起因する。脊索は脊索動物体制における中軸器官であると同時に、脊索動物を特徴づける最も重要な形質である。その脊索形成にはBrachyury遺伝子が重要な役割を果たす。しかし、Brachyury遺伝子の役割は脊索形成に特化したものではなく、もともと原腸形成に関連した役割を持っていたものが、脊索動物の進化の際に脊索形成に関わったものと考えられる。そこで、Brachyury遺伝子が担う脊索形成の機能を獲得する進化プロセスを明らかにすることから、脊索動物誕生の進化発生学的基盤の解明を目指した。
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