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2016 年度 実施状況報告書

ゲノム情報から探るアオキ属の適応分化と系統進化

研究課題

研究課題/領域番号 15K07181
研究機関東京大学

研究代表者

東馬 哲雄 (大井哲雄)  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10376527)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードアオキ属 / 系統分類 / 核DNA / 倍数化
研究実績の概要

本研究では日華植物区系固有のアオキ属(Aucuba)の系統分類および進化について、ゲノム情報を駆使して明らかにすることを目的としている。初年度から核DNAに基づく解析を進めており、解析が完了していなかったrpb2遺伝子の解析を行った他、新たに複数の大陸産個体について葉緑体DNA・核DNA(ITS、gapC、rpb2)解析および倍数性解析を行った。rpb2遺伝子は多型が多いが系統情報が少ないため、ネットワークとして種の関係を検討した。葉緑体DNAとITSでは単系統群となるA. japonicaは、gapCと同様に、rpb2では多系統群になる。ただし、A. japonicaは、gapCでは大きく2系統に区別できるが、rpb2では様々な系統に分散していた。ITSでは協調進化の影響を受け、種分化してから十分な時間が経っているため、単系統群になっていると考えられ、gapCとrpb2では祖先多型が保持されており、A. japonicaの4倍体系統が異質倍数化に起因し、その後、別系統の4倍体との遺伝子流動が生じたことを示していると考えられる。核DNAの系統解析は、大陸産含めた複数の4倍体の起源を探る目的で実施したが、ほとんどが同質倍数体というよりも異質倍数性であると考えられたが、倍数化後の二次的な遺伝子流動を考えると、異質倍数体の交雑親種まで推定することは困難であることがわかった。新たな大陸産個体からは、同所的に2倍体と4倍体の別種が分布していることが明らかになった。また、通常の4倍体と6倍体の中間的なゲノムサイズをもつ個体が見つかったが、倍数レベル推定は染色体数既知の2倍体を基準にフローサイトメーターによるゲノムサイズ比較を行っているため、染色体数の直接的なカウントが必要である。本年度までの結果を踏まえて、アオキ属の系統分類についての学術論文の準備を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

解析対象の半数以上がゲノムサイズ比較から4倍体と推定され、また核DNA解析からは異質倍数体と考えられ、同一個体内に3種類あるいは4種類の配列を保持していた。そのため、クローニングによる配列の決定において、PCR増幅時の人工的な組み換え配列を除去することが必要であり、1サンプルあたり数十のクローン配列を検討しなくてはならず想定外に時間を要した。データが出揃うのが予定よりも遅れたため、学会発表・学術論文の投稿まで行うことができなかった。

今後の研究の推進方策

まず染色体数のカウントを実施し、昨年度から準備を進めているアオキ属の系統分類についての学術論文を仕上げる。また葉緑体DNA全塩基配列の解析に取り組み、研究協力者のアドバイスを仰ぎながら代表サンプルについての解析を進め、A. japonicaの種内系統間にみられる葉緑体DNA rbcL遺伝子の複数の非同義置換について、自然選択によるものなのか、rbcL遺伝子自体の水平移動により獲得されたものなのかを検証する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 改訂新版日本の野生植物. 第4巻. 大橋・門田・邑田・米倉(編). アオキ科2017

    • 著者名/発表者名
      東馬哲雄
    • 総ページ数
      320 (265)
    • 出版者
      平凡社

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公開日: 2018-01-16  

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