本研究では、両棲および海棲のウミヘビ類のゲノム解読や行動観察を行った。ウミヘビ類は、陸産のヘビ類と比べて化学感覚に関与する受容体遺伝子を多く失っていることが解明された。だが、残された受容体遺伝子に関して、両棲種ではまだ各嗅覚器官において発現している一方で、陸地を必要としない海棲種では、嗅上皮における発現が確認されなかった。こうした化学感覚受容体遺伝子の機能喪失は鯨類の進化でも確認されており、羊膜類の海洋環境への適応進化に伴う普遍的な現象であることが示唆された。しかしその一方で、海棲ウミヘビ類は、嗅覚のみで魚種を判別できることも示された。これは、羊膜類が水中で機能する嗅覚を持つ、初の報告である。
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