研究課題
本研究では、シャジクモにおいて独自に確立した培養株と概要ゲノムを基礎とし、さらにシャジクモ藻類の発生段階/器官/細胞毎の発生遺伝子の発現パターンを網羅的に抽出し、どの遺伝子が各発生段階/器官/細胞に特異的に発現するのかを解明する。また、シャジクモ藻類の発生遺伝子の機能解析に向けた実験系の確立を進め、標的遺伝子がシャジクモ藻類においてどのような役割を果たしているのかを解明する。平成27年度は、シャジクモにおける発生遺伝子の発現様式を解析するため、シャジクモの発生段階/器官/細胞毎のトランスクリプトーム解析に向けた実験系の確立とRNA-seq解析を実施した。シャジクモを同調的に培養し、生殖器官形成に着目してシャジクモの生活環を発生段階/器官/細胞毎に11種の条件に分け、各条件の細胞におけるRNA抽出方法を検討し、得られたRNAの蛍光定量とキャピラリー電気泳動を行った。その結果、多糖類が多い生卵器・接合子、地中に伸びる仮根の細胞は多糖類や夾雑物を取り除く処理を必要としたが、すべての条件でトランスクリプトーム解析に十分な質と量のRNAを得ることができた。シャジクモについて条件毎に細胞を集め、3検体ずつ次世代シーケンサー(Illumina)を用いたRNA-seq解析を実施し、6条件についてシーケンシングデータを得た。また、オーストラリアシャジクモ、クレブソルミディウムについても同調的に培養したサンプルを複数の条件に分け、条件毎に細胞を集め、3検体ずつ次世代シーケンサーを用いたRNA-seq解析を実施した。平成27年度中に得られたシャジクモのシーケンシングデータについては、概要ゲノムにマッピングし、遺伝子発現量の定量を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していたサンプルについて、トランスクリプトーム解析に十分な質と量のRNAを得ることができ、RNA-seq解析を進めている。平成28年度中にすべてのシーケンシングデータが得られる目途がついており、おおむね順調であると考えている。
今後は、RNA-seq 解析から得られたデータを用いて、シャジクモの発生遺伝子の発現様式を網羅的に解析する予定である。また、シャジクモの生殖器官形成等に焦点を絞り、関連する遺伝子の特定とその機能解析に向けた実験系の確立も進めていく予定である。
微量RNAサンプルの解析を次年度に実施する可能性があるため。
トランスクリプトーム解析、情報解析に使用する予定である。
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Knowledge and management of aquatic ecosystems
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http://dx.doi.org/10.1051/kmae/2015045
Phycological Research
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