研究課題
平成28年度は、シャジクモ、オーストラリアシャジクモ、クレブソルミディウムについて、前年度に抽出した発生段階/器官/細胞別のRNA(各3検体)を用い、次世代シーケンサー(Illumina)を用いたRNA-seq解析を実施した。シャジクモのシーケンスデータについては、概要ゲノムにマッピングし、遺伝子発現量の定量を行い、発生遺伝子の発現プロファイルを明らかにした。その結果、シャジクモの生殖器官形成過程や接合子(2倍体)に特徴的な発現パターンをもつ遺伝子を絞り込むことができた。また、国内外の研究機関との共同研究を実施し、特定の遺伝子についてリアルタイムPCR法、in situ ハイブリダイゼーション法等により発現解析を行い、遺伝子の進化過程について解析を進めた。さらに本研究で明らかになった遺伝子の発現情報をもとに恒常的に高い発現を示すネイティブな遺伝子のプロモーターを単離し、GFPまたはGUS (β-グルクロニダーゼをコードする遺伝子) を発現マーカーとした外来遺伝子を発現させるコンストラクトを作製し、シャジクモにおけるマイクロインジェクション法等を用いた一過的な遺伝子導入系の検討を進めた。また、形質転換体の薬剤選抜を可能にするため、ハイグロマイシン、ゼオシン等の抗生物質を2μg/mL~50μg/mLの範囲で添加した培地にシャジクモを植え、2週間培養し、生育不全を示す抗生物質の最小濃度を明らかにした。オーストラリアシャジクモ、クレブソルミディウムのシーケンスデータについては、トランスクリプトームまたはゲノムデータへのマッピングと遺伝子発現量の定量を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していたサンプルについて、RNA-seq解析によりシーケンシングデータを得ることができ、遺伝子発現量の定量を進めており、シャジクモについて生殖器官形成過程や接合子(2倍体)に特徴的な発現パターンをもつ遺伝子を絞り込むことができた。また、遺伝子機能解析に向けた遺伝子導入系の検討、in situ ハイブリダイゼーション法による発現解析を進めており、おおむね順調であると考えている。
今後は、RNA-seq 解析から得られたデータの解析を進めるとともに、シャジクモの生殖器官形成等に焦点を絞り、関連する遺伝子の特定とその機能解析に向けた実験系の確立を進めていく予定である。
微量RNAサンプルの解析を次年度に実施する可能性があるため。
トランスクリプトーム解析、遺伝子機能解析、情報解析に使用する予定である。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 6件、 招待講演 3件)
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