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2016 年度 実施状況報告書

西日本の渓流沿い植物の系統地理及び集団維持に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K07186
研究機関徳島大学

研究代表者

山城 考  徳島大学, 大学院生物資源産業学研究部, 准教授 (50380126)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード渓流沿い植物 / 生物地理 / レフュージア / マイクロサテライト
研究実績の概要

前年度に引き続きマイクロサテライトマーカーの開発を行った。渓流沿い植物のホソバシャジンを対象に14遺伝子座を増幅できるプライマーを作製し、そのうち増幅効率の良い10プライマーについて蛍光プライマーを作製した。サンプリングを行った集団の遺伝子型の決定は、アキノタムラソウ、リンドウを中心に行った。アキノタムラソウは7集団(各25個体)について、フラグメント泳動象が明瞭な7遺伝子座の遺伝子型決定を行った。検出された対立遺伝子数は3~19個でヘテロ接合体の観察値は0.29~0.82であり、作製したマーカーに十分に多型が存在することが明らかになった。また、アキノタムラソウの遺伝子分化係数(FST)は0.04~0.21であった。特に徳島県の那賀川の渓流沿いの集団は付近の陸上型集団との遺伝子分化係数が大きく(0.11)、剣山や同一河川の集団との遺伝子分化係数は低い傾向が見られた(0.048~0.09)。リンドウ4集団(各集団25個体)に対して9遺伝子座について遺伝子型を決定した。その結果、2-10個の対立遺伝子が検出され、ヘテロ接合体の観察値は0.25~0.51であった。多型はやや低い傾向が見られるが、集団が保有する対立遺伝子に違いが見られ、遺伝子分化係数は0.17~0.43と大きい値を示した。ホソバシャジンは本年度は1集団しか解析できなかった。作製した10遺伝子座を用いて20個体の遺伝子型を決定した結果、2~9個の対立遺伝子が検出され、ヘテロ接合体の観察値は0.20~0.90であった。フラグメント泳動象が明瞭でない遺伝子座が多いため、現在、PCR及び核酸精製の手法について改善を検討している。
集団サンプリングは高知の仁淀川、四国カルスト、広島の太田川、山口の長門峡、錦川、宮崎の球磨川で行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前年度末に所属機関の備品である遺伝子解析システムのレーザー検出部位が故障してしまい、予定以外の支出が必要になった。また、故障してから修理するまでの間、実験を中断せざるを得なかった。マイクロサテライト開発のための試薬の納入が非常に遅れ、プライマーの作製に時間がかかってしまった。さらに、蛍光試薬の販売価が昨年度、約3倍に値上げされたため、予定ししていた遺伝子座数を十分に解析できなくなってしまったため。

今後の研究の推進方策

本研究課題では、渓流沿い植物について高標高域の集団に着目し系統地理学的解析を行い、その起源を明らかにすることを目体としている。しかし、現段階では3種の遺伝子マーカーの開発、そして、2種についてスクリーニングが終わった状況であり、計画当初よりも研究の進捗が遅れている。そのため、今後は対象地域をより狭くし、四国の4河川(那賀川、吉野川、仁淀川、四万十川)と九州の2河川(球磨川・五ヶ瀬川)を中心にその集水域集団についてサンプリングを行い、それらの渓流沿い集団の系統を明らかにすることを最優先する。対象種はアキノタムラソウ、リンドウ、ホソバシャジン、アワモリショウマの4種を設定しているが、ホソバシャジンのフラグメント泳動象に改善が見られない場合は3種を対象に研究を進めることを検討している。ホソバシャジンについては、DNA抽出キットの使用により、核酸の精製度を上げることとマルチプレックスPCRの反応の至適条件の検討を行う。アワモリショウマについては蛍光プライマーを購入していない状況であるため、今年度購入を予定している。今年度は8月を目処にサンプリングを終え、8月以降は遺伝子型決定及びデータ解析を中心に行い研究成果を出すことを目標に研究を実行する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 日本産ヤマハッカ属の系統学的解析~葉緑体捕獲と不完全な系統ソーティングは見分けられるか~2017

    • 著者名/発表者名
      荻嶋美保・堂囿いくみ・山城考・堀江佐知子・永野惇・牧雅之
    • 学会等名
      日本植物分類学会第16大会
    • 発表場所
      京都大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2017-03-09 – 2017-03-12

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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