研究課題/領域番号 |
15K07190
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸山 宗利 九州大学, 総合研究博物館, 助教 (80512186)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ケニア / Centrotini / 採集調査 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、アジアとアフリカを中心に生息するツノゼミ亜科Centrotinaeの系統進化と分類を主目的としている。研究の遂行にあたっては、ツノゼミ種の採集調査による新鮮な研究材料の確保と、そのDNA抽出ならびにシーケンス作業が核となり、さらには標本の同定と新種の記載などの分類学的研究が同時に必要である。しかし、標本の収集がまだまだ不十分であり、本年度も採集と標本の収集に力点をおいた。具体的には、ラオス、タイ、ケニア、ミャンマー、マレーシア、台湾、フランス領ギアナで採集調査を行った。とくにケニアでは、Spalirises、Monoanchon、Cornutobelus等、アジアに近縁属が生息しない属をいくつか採集することができ、重要な成果となった。また、アジアと共通属であるGargaraやLeptocentrusも多数採集でき、これらはアジア産種とアフリカ産種の分布形成を考察するうえで重要な研究材料となるであろう。ラオス、タイ、ミャンマー、台湾での成果は全体的に今ひとつであったが、ラオスではFormocentrusやElaphicepsなど、系統的位置の解明が待たれる種を採集することができた。また、室内作業としては、標本の作製、DNA抽出作業等を行った。標本の同定にあたっては、欧米の博物館(スミソニアン自然史博物館と大英自然史博物館)へ足を運び、タイプ標本の確認を行う必要があるが、予算の関係で、今年は実施できなかったので、分類学的研究に関する進捗はあまりない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題のツノゼミ亜科には採集が困難であり、かつ系統進化を調べるうえで重要な種が多く、採集調査がやや難航している。また、ハタザオツノゼミ族Hypsaucheniiniに関して、早々に1つ系統に関する論文を発表したいと考えていたが、その鍵となるオオハタザオツノゼミGigantorhabdusの新鮮な標本が度重なる調査にもかかわらず得られておらず、それを無しで発表するか、徹底的に調査して、標本を得てから発表すべきか、難しい判断が迫られている。
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今後の研究の推進方策 |
オオハタザオツノゼミGigantorhabdusを含む重要種の採集調査をすすめる。また、まだ未調査地域として、重要な標本となる西インド諸島に生息するMonobelini族、Nessorhinini族の採集調査を早く実施したいと考えている。また同時にDNA抽出とシーケンス作業も効率的に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
西インド諸島かオーストラリアに行く費用として残しておきたいが、許可と実施計画が間に合わず、来年度以降に持ち越しとなったため
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次年度使用額の使用計画 |
来年度の採集調査に用いる。その場合、とくに西インド諸島とオーストラリアを考慮に入れる。
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