研究課題
昆虫類は108万種,ダニ類5万5千種,真正クモ類4万4千種がこれまでに記録されている(Zhang, 2013).しかしながら,日本産ダニ目のうち,種数が最も多いのがケダニ亜目であり,推定未知種数が最も多いものが土壌環境に生息する自由生活性のケダニ亜目である(鶴崎, 2003).自由生活性のケダニ亜目の分類学は,国内では1963年に森川国康先生が始め,芝 実 先生(松山東雲女子短期大学)が,大きく発展させられたが.この標本類は,プレパラートボックスにして,600箱以上におよんでいるが,採集データなどが未整理のままである.また,ダニ目全体の系統関係で,問題が残されているのが,胸板類,特にケダニ亜目である(島野,2016).本研究の目的は,この膨大な標本整備と,日本産ケダニ亜目のリビジョンの作成,そして,ケダニ亜目とその周辺の系統関係の整備である.現在のところ,自由生活性ケダニ類,約4000件の標本について,採集データを現在の地名にマッピングし直し,採集日,分類群名などのラベルを付け直し,エクセルシートに入力しデータベース化した.自由生活性ケダニ文献をPDF化しデータベースにした,日本から記録のあるケダニ亜目の目録作りを開始した.住居および潮間帯のケダニ相についてこれまで得られた知見の整理を開始した.Endeostigmataを中心に,未記載種の整理を行い,今後の分類学的研究の準備を行った.Sarcoptiformesの新種記載を行った.ケダニ亜目とダニ目の体系で重要になるSarcoptiformes,特にEndeostigmataを中心に遺伝子解析を開始した.
1: 当初の計画以上に進展している
特筆すべきは,自由生活性ケダニ類,既に,約3500件の標本について,採集データを現在の地名にマッピングし直し,採集日,分類群名などのラベルを付け直し,エクセルシートに入力しデータベース化した.
さらに多数ある自由生活性ケダニ類の標本についてのデータベース化を推進する.日本から記録のあるケダニ亜目の目録作りを加速する.整理を行った未記載種について,今後の分類学的研究を行う.また,ケダニ亜目の遺伝子解析をすすめる.
研究費の確定から.データベースの作成開始までの打ち合わせに時間がかかったため,わずかでも研究費を2016年度に繰り越しデータベースの作成に資金を投入したいと考えたため.
データベースの作成に繰り越した研究費を使用し,整理収録の件数を可能な限り増す.
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (6件)
Zookeys
巻: 578 ページ: 1-13
10.3897/zookeys.578.7603
Acarologia
巻: 57 ページ: in press
International Journal of Acarology
巻: 42 ページ: in press
European Journal of Protistology
巻: 51 ページ: 42-54.
doi:10.1016/j.ejop.2014.11.003
Microbial Ecology
巻: 70 ページ: 646-658.
10.1007/s00248-015-0620-9