母島列島のオオバシマムラサキは生育環境に応じて4つのエコタイプに分化していることが分かった。エコタイプ間で開花フェノロジーのずれの程度に違いがあり、ずれが大きいほど交雑率が下がること、交雑率が低いエコタイプは遺伝的分化の程度が大きいことが明らかとなった。湿性型と乾性型のエコタイプを用いて水分条件を変えた栽培実験では、苗の成長と水分要求性には局所適応が生じていた。栽培実験で用いた苗の開花調査を4年間行ったが、水分環境により開花期がずれることはなく、開花期の表現型可塑性により生態的種分化が促進された可能性は示唆されなかった。
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