東北地方太平洋沖地震は巨大な津波と地盤の沈降をもたらした。震源近くの5海岸で、岩礁潮間帯群集に対する地震のインパクトとその後の回復過程を評価した。その結果、生物群集は津波によって明らかにダメージを受けたものの、その被害は比較的軽微であった。一方、地盤の沈降は生物の分布と生育量に大きな影響を及ぼした。地震6年後でも生物群集は地震前の状態には回復しておらず、いくつかの優占種の帯状分布は地震前とは明らかに異なる状態にあった。未回復の種には成長が遅く、住み着き能力に劣る種が含まれたことから、今後、仮に岩礁潮間帯の生物群集が地震前の状態に回復するとしても、かなりの長時間を要することが示唆された。
|