研究課題/領域番号 |
15K07217
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
三宅 崇 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (00380569)
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研究分担者 |
牧 雅之 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (60263985)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 雄性両全性異株 / 性表現 / 性特異的マーカー / 性的二型 |
研究実績の概要 |
野外調査では1)実生個体の生存率の雄個体と両性個体での比較、および、2)雄個体と両性個体の生活史形質の二型の検出、を行った。1)に関しては、福井野外集団で約120個体の実生をマーキングし調査を行ったが、2ヶ月目にほとんどの個体が枯死してしまい、追跡調査および性間の比較が不可能となった。今年度の開花時期には、前年度に個体数の多かった石川県の複数集団でも開花個体がほぼ見られなかったことから、気候等なんらかの理由により福井石川付近では生育条件が例外的に不適であったと推測された。 2)では、前述のマーキング個体に加え、開花初期に福井で、開花後期に山形および新潟の集団で葉を採集し、葉の形態を生活史にわたって性間で比較した。この際、未開花個体の性は、前年度に作成した分子マーカーを用いて判定した。この結果、LMA(葉面積あたりの乾燥重量)がシーズンを通じて両性の方が大きいこと、また、葉面積もとりわけ開花後期の両性個体で大きいことがわかった。後者は、シーズン後半で成長した部位で展開する葉が、雄個体で大きくならないことが原因であると示唆された。 次に、山形および新潟の雄個体と両性個体が共存する集団において、両性個体の自殖率と雄個体と両性個体の花粉成功度を比較するために、野外集団から種子を採集した。これらは実験室で冷温処理を継続しており、次年度に発芽実験を経て葉からDNAを抽出し、解析を行う予定である。 また、前年度作成したPCR-RFLPによる性特異的マーカーに加え、雄個体のみで増幅が確認できる性特異的マーカーを作成した。前年度のマーカーは、福井および岐阜の一部の雄個体では両性個体と同じ分離パターンになることがわかっているため、集団によっては双方のマーカーを併用する必要があると判断された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
次世代シーケンサRoche GS Juniorを用いたマイクロサテライトマーカー開発が、複数の課題が生じたために完了しなかった。また、研究室周辺場所(岐阜、福井、石川)で開花時点まで生存している個体が大変少なく、自殖率および雄個体と両性個体の花粉成功度比較のための種子採集が十分に行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度調査のできなかった生存率比較は、採集種子を用い、大学からほど近い試験地で行うことを予定している。また、自殖率および雄個体と両性個体の花粉成功度比較については、マイクロサテライトマーカー以外の手法により解析することを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者のマイクロサテライトマーカー開発が進まず、シーケンサによる分析および結果を議論するための研究打ち合わせ出張で研究費を使用しなかったために次年度に繰り越す研究費が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度はマイクロサテライトマーカー開発を進め、マイクロサテライトおよび性特異的マーカー等の分子マーカーを利用した解析を行う。また、花期には複数の県の調査地を複数回調査することで十分量の種子採集を行い、本年度中に種子DNAを用いて解析を進める予定である。研究費は主としてこれらの野外調査及び分子遺伝学解析に使用する計画である。
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