同種の個体間の利他行動がどのように進化してきたのかという問題は、進化生態学の大きな問題の一つである。その進化には、空間上での個体の分布の仕方が大きく関わっていると考えられている。本研究では、2次元空間上で利他行動のレベルとともに資源をめぐる収奪能力のレベルが同時に進化する場合を想定し、それらの進化動態をコンピュータシミュレーションにより解析した。その結果、資源収奪のレベルが高まる方向へと進化が起きることで、個体がまとまって分布するクラスター構造を作って規則的に分布する特徴的な空間パターンが現れ、それを通じて利他行動の進化ががより強化されうることが明らかになった。
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