研究課題/領域番号 |
15K07225
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
天野 雅男 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (50270905)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動物社会 / 社会行動 / マッコウクジラ |
研究実績の概要 |
2016年5月、7月に長崎大学水産学部練習船にて五島南方海域のマッコウクジラの調査を行った。また6月には新上五島町のダイビングショップの船舶を傭船して、吸盤装着型データロガーの装着調査を行った。 これらの調査で8頭が個体識別された。この内7頭は過去にも識別されており、この海域を利用している個体は毎年繰り返し来遊するものが多いことが明らかとなった。識別写真から体長推定を行った結果、平均12.4mで根室海峡よりも小型の個体が来遊していることが確認された。これまでに識別された15頭の社会分析の結果、同伴指数は根室海峡よりも高く、互いに同伴指数が高い4頭と5頭からなる集団が見出された。この集団の個体は海面で近接するクラスターをたびたび形成することが観察された他、潜水浮上のタイミングが同調する傾向が見られた。このようなクラスターは根室海峡ではまれにしか観察されていない。これらの結果は五島のマッコウクジラは根室海峡のものより社会性が高いことを示している。 2頭に吸盤装着型データロガータグを装着し、それぞれ9時間弱、28時間の水中行動データを得た。この2頭の行動データ中、社会行動が含まれると考えられる水面滞在時間は、それぞれ5時間50分と4時間15分であり、装着時間に占める割合は27%であった。根室海峡において、より大型のマッコウクジラ11頭についてこれまでにロガーデータから得られた値は11%であり、五島のマッコウクジラは2倍以上の時間を水面で過ごし、より多くの時間を社会行動に費やしていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この2年間で、五島南方海域において11頭の個体識別を行い、その内7頭については体長データが得られている。これらの個体について水面での行動データ、鳴音データも順調に収集されている。また昨年度は当該海域で2頭に吸盤装着型データロガータグを装着し、9時間と28時間の行動データが得られている。これらのことから計画はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
5月および6月に長崎大学水産学部練習船を用いて、五島南方海域のマッコウクジラの個体識別、体長推定、水面行動データ、鳴音データを取得する。また6月には、昨年度に引き続き新上五島町のダイビングショップの船舶を傭船して吸盤装着型データロガーを装着し、水中行動データを得る予定である。これらの結果から、社会行動時間、クラスター形成頻度、コミュニケーション音声の発生頻度を算出して、根室海峡のマッコウクジラとの比較を行っていく。
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