花をつける植物(被子植物)は地球上の生物多様性を代表する分類群である。被子植物の多様性は、多様な生育環境への適応や、異なる送粉者(ハチ、チョウ、ガ、ハチドリなど)への適応の産物として説明されることが多い。このことから、「生育環境からの自然選択と送粉者からの自然選択が同時に働くことにより、被子植物の多様化(種分化)が起こりやすくなっているのではないか」という予想が成り立つ。この予想をくわしく検討したところ、生育環境に適応している植物が送粉者の誘引能力も高いことが、予想の成立条件として重要であることが分かった。この発見は、被子植物の多様性が生まれたしくみを理解する重要な鍵を与えるものである。
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