ヒトの早老症によく似た症状を示したニホンザルN416(シワコ、PLoS One, 2014)の病因解明のため、主要臓器、脳について元素分析を行った。DNA 修復関連酵素や抗酸化酵素に関わっている亜鉛が一部の臓器で正常個体より著しく低い値を示したため、亜鉛代謝異常が早老症的症状の発現の一因かと思われたが、詳細は未解明である。特異な顔貌と四肢拘縮を示すニホンザルMff2389とその妹2頭は、尿検査、エックス線検査などの結果から、難病指定されているムコ多糖症であることが強く疑われた。遺伝子検査の結果、ムコ多糖症I型の原因遺伝子IDUAに生じた一塩基置換が症状の原因である可能性が高いことが分かった。
|