研究課題/領域番号 |
15K07238
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
佐伯 和信 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 講師 (80195966)
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研究分担者 |
分部 哲秋 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (50124847)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 古墳人 / ミトコンドリアDNA / ハヤト / ハプログループ |
研究実績の概要 |
本研究計画は、ハヤト(隼人)の原像とも呼べる南九州地域の古墳人集団について、ミトコンドリアDNA (mtDNA) 解析を行い、シークエンスデータからハプログループの頻度構成を導き出し、集団としての分子遺伝学的特性および系譜を明らかにすることを大きな目的としている。平成27年度は、南九州出土(山間部)古墳人約50体を対象に、Single PCRによる mtDNA のD-LoopのHVR1とHVR2領域を主とした塩基配列の解読と Multiplex PCR APLP法を用いたハプログループの決定を試みた。古人骨のDNA分析ではコンタミネーションが大きな問題なので、本年の研究計画で専用のクリーンベンチを購入し、これを利用してDNA抽出とPCRの過程に細心の注意を払い行った。 当初の見込みでは、比較的保存状態の良い人骨50体を選んで分析を進行させたので60~80%の人骨から結果が得られると予想していたが、人骨の見た目以上にDNAのダメージが大きいためか、多くのサンプルで良好なPCRの結果を得ることができなかった。現在まで、目標を大きく下回っているが、10体程度の結果を得ている。 分析結果の中で、Single PCR、またMultiplex PCR ともに一部で複数のサンプルが混在している例もみられた。ネガティプコントロールに問題はないので原因は明らかではないが、今まで以上にコンタミネーション対策を施す必要性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今回50体の古墳人骨からDNA抽出を行い分析を行ったが、PCRの段階でDNAの増幅を認めないサンプルが多く、27年度に見込んでいた体数の分析結果を得られていない。また、数例ではコンタミネーションが疑われる結果もみられた。
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今後の研究の推進方策 |
DNA解析の結果をみると、DNAのコンタミネーションよりもDNA抽出の過程で増幅のために十分なDNAが得られなかったことが大きいように思える。あるいは、抽出していてもごく短い断片になっている可能性もある。 今後の方策として、①状態の良い人骨サンプルを選択する、②短い断片でも増幅されるようにPCRのプライマーをデザインする、③増幅に適したPCRの設定、キットの選定をする、という工夫を行って分析を進めていきたい。当然コンタミネーション対策は万全に行う。 とにかく、サンプル数がある程度増えないことには集団としての遺伝的系譜は導き出せないので、DNAを抽出して1体でも多くの結果を得ることを優先させる。
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