研究課題
鎌倉市由比ガ浜中世集団墓地遺跡(No.372)は,滑川河口の西側に位置し,遺跡内には2000年に発掘された由比ガ浜二丁目1015番23地点と2012年に発掘された由比ガ浜二丁目1014番15地点がある。両者とも膨大な人骨が出土し,前者からは12~13世紀に属する592体の人骨が出土したが,後者から出土した人骨は未報告である。後者の地点の年代は明らかではないがかわらけから14世紀代から戦国時代と推測された。本研究では後者の地点から出土した人骨を整理・記載を行い,形態学的研究から中世鎌倉の人々の姿かたちや生老病死に迫りたい。先行研究では,鎌倉市から出土した中世人骨は,長頭,低身長,短命という特異性を持つが,後の時期になるほど短頭化や長寿化が進むことが示唆された。本研究は,由比ガ浜二丁目1014番15地点から出土した人骨を分析し,中世人骨の生物考古学的特徴の多様性を解明したい。具体的には,(1)人骨を試料とした放射性炭素年代の推定,(2)性別・死亡年齢構成の復元,(3)頭蓋や四肢骨の計測的特徴の解明,(4)エナメル質減形成出現頻度による生活水準を解明した。次に、日本人の死亡年齢分布の時代推移を明らかにした。中世においてもっとも若年死亡率が高く、劣悪な社会環境における生老病死の実像に迫った。また、本研究課題では、縄文時代、古墳時代の発掘人骨の調査も行い、病気や寿命に関わる生物考古学的データを収集した。
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Anthropological Science
巻: in press ページ: in press
International Journal of Paleopathology
巻: 26 ページ: 145-156
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PLOS ONE
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doi.org/10.1371/journal.pone.0210458