研究課題/領域番号 |
15K07243
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
清水 悠路 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (40569068)
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研究分担者 |
永吉 真子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (30728960)
前田 隆浩 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (40284674)
門田 耕一郎 長崎大学, 保健・医療推進センター, 助教 (40549458)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 血管リモデリング / 高血圧 / 動脈硬化 |
研究実績の概要 |
2016年度までに住民健診を受診した60-69歳の男性588人を対象に一般健診項目(問診、採血検査、検尿検査)に加え、頸動脈内膜中膜複合体肥厚(CIMT)などの動脈硬化指標データ、握力検査や舌圧検査などのサルコペニア指標データ、採取後24時間以内の新潜血を用いた末梢血CD34陽性細胞数の測定、他、血液検査を用いた網状赤血数の測定などにより得たデータを収集し、解析を行った。 当研究データの解析により、血小板数が、高血圧未罹患者においては、末梢血CD34陽性細胞数と正の関連を示すが、CIMTとは関連を示さないこと。一方、高血圧罹患者においては末梢血CD34陽性細胞数との間に有意な関連は示さないが、CIMTとの間には有意な正の関連を示すことを認め、血小板数および高血圧の有無が血管内皮修復の指標に成り得ると事を示した(Oncotarget. 2016).さらには、収縮期高血圧存在下において、身長が末梢血CD34陽性細胞数に正の関連を有することを報告、高齢男性において身長は血管修復能の指標に成り得ること(Geriatr Gerontol Int 2016)、高ヘモグロビン値を示す高齢者男性において、身長は網状赤血球数と有意な正の関連を認めることを報告し(Aging (Albany NY) 2016)、身長が造血能力を示唆する指標に成り得ることを明らかにした。 また、末梢血CD34陽性細胞数が少なく、血小板が多い事が、高血圧に関連し、高血圧存在下では動脈硬化形成に寄与し得ることを報告し、CD34陽性細胞数および血小板数が、高血圧と動脈硬化の間に存在し得る悪循環の活動性指標に成り得ることを示した(Atherosclerosis 2017)。 これら研究結果は、本研究の目的である動脈硬化に及ぼす生理的多型の一部を、また、血管リモデリングの機能的潜在性の一部を解明するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
既に本研究を遂行するのに必要なデータは収集、データクリーニング及びデータベースへの入力は終了しており、、当該データに対して統計学的解析を行っている。現在までに得た本研究に関わる新しい知見に関しては、既に学会報告及び国際誌での報告を行っており、当初の計画以上に伸展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
既に断面研究として解析で得た結果を国内外の関連学会での発表及び国際誌での発表を行っているが、さらに解析を進め、末梢血CD34陽性細胞や血小板数、高血圧や脂質の関連に関し検討を進めていく予定である。またこれらの解析にて得た新しい知見に関しても継続して国内外の関連学会での発表及び国際誌での発表を行っていく予定である。 また本研究は、定期的な住民健診を研究フィールドとして用いており、、既にCD34陽性細胞数を測定した者のうち一定数は今後も当該健診を受診すると思われる。従ってこれらのデータを用いることにより、追跡研究への発展も可能であると思われる。
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