研究実績の概要 |
ヒトの下肢機能には、操作と支持という二つの機能的役割があるが、支持機能の一側優位性の発達様相については、これまで系統的な報告が認められていない。我々は、周期的床振動法を利用して、動的バランス条件下での支持機能の一側優位性について報告した(Kiyota and Fujiwara, 2014)。本研究では、先行研究に基づき、幼児および児童を対象に、静的および動的バランス条件における安定性の一側優位性の発達様相について検討し、支持機能の左右の分化が確立する時期について明らかにすることを目的とした。平成29年度は、6歳~9歳の児童6名を対象に本実験を実施した。いずれの児童もサッカーボールを蹴る側の足が右側であった。全測定を、床反力計を搭載した振動台上で行った。床反力計により、前後方向の足圧中心動揺を検出した。台は、前後方向に正弦波状に振幅2.5cm、周波数0.25、0.5、0.75、1.0、1.25、1.5 Hzで振動させた。測定条件は、床移動のない静的条件と6つの振動条件とした。幼児への負担を考慮し、2日間に分けて測定を実施した。振動条件では、被験者は両足での振動刺激を10秒間負荷され、その後片足立位姿勢を20秒間保持するよう求められた。いずれの条件も左右3試行ずつ実施した。全ての児童が3試行目までに、全条件で10秒以上の片足立位保持が可能となった。そのため、3試行目の10~20秒間の足圧中心動揺平均速度を分析した。静的条件および0.25Hz条件では左側の安定性が優れていたが、0.5Hz~1.5Hzでは有意差が認められなかった。成人では、静的と動的なバランス条件に応じて、左右脚で支持機能を分担していることが報告されているが(Kiyota and Fujiwara, 2014)、低学年の児童においてはそのような機能分化がまだなされていないと推察された。
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