醸造用および非醸造用の国産二条オオムギにおける系譜に含まれる品種のうち、岡山大学で保存していない品種を育成地から入手して栽培した。岡山大学で保存しているオオムギ品種ならびに新規に導入したオオムギ品種の根および芽の部分からRNAを抽出して、それぞれRNAシーケンス用ライブラリ(Illuimina社Truseqキット使用)を作成し、同社Miseqシーケンサーを用い、同社v3シーケンスキットで、約550塩基のゲノム断片の両端から300塩基ずつ必要量(約3Gb)の配列解析を実施した。解読した配列はオオムギの遺伝子配列(二条オオムギ品種「はるな二条」に由来する完全長cDNA配列約3万)にマップしてそれぞれの遺伝子に対応する解読品種の配列を取得するとともに、遺伝子のゲノム上の位置情報を決定した。 九州・沖縄農業研究センター小麦・大麦育種グループ(筑後市)の育成材料のうち、集団法で個体選抜が終了し系統選抜を実施している系統育成の2集団について、現地に赴いて系統および交雑親の種子を入手し、核酸分離用のサンプルを採取した。さらに系統についての最終的な育成者の評価および選抜した系統についての情報提供を受けた。入手した核酸および種子サンプルによってRNA-Seqライブラリを作成し、配列解析した。これらの配列を遺伝子配列にマップして系統・品種単位の遺伝子領域の配列を取得し、ゲノム上の位置情報を決定した。さらに、それぞれの集団で選抜した各40系統および選抜されなかった各40系統ならびに集団の両親について全ゲノムSNPタイピングによって、遺伝子型を判定し、それぞれの集団で育種によって選抜された領域を推定した。
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