醸造用および非醸造用の国産二条オオムギにおける系譜に含まれる品種のうち、岡山大学で保存していない品種を育成地から入手して、岡山大学の保存品種とあわせて栽培しDNAを抽出した。これらについて岡山大学で新規に開発した9千マーカーの座上するSNPマイクロアレイ、および英国で開発した5万マーカーの座上するSNPマイクロアレイでジェノタイピングを実施した。これらのSNPについては、最新のオオムギゲノム情報を用いて座上位置を決定した。このオオムギのゲノム情報にはミトコンドリアのゲノム配列が混入していることが知られているが、今後より効率的なアノテーションをするために、ミトコンドリアゲノムの配列をオオムギで初めて同定し、論文成果として発表した。さらに、これらの系統について系譜を経てもハプロタイプが選抜されて残っているゲノム領域を醸造用および非醸造用それぞれについて推定した。前年度実施した、九州・沖縄農業研究センター小麦・大麦育種グループ(筑後市)の育成材料で、2つの交配組合せの集団から選抜した各40系統および選抜されなかった各40系統ならびに集団の両親を全ゲノムSNPタイピングした結果から、これらの集団において選抜されたゲノム領域を推定し、先に実施した品種の育成系譜で選抜された領域を比較した。また、これらの選抜系統と非選抜系統の差を示すゲノム領域を効率的に同定するために、DNAプールを解析してシーケンスするExome QTL-Seq法を開発して、論文成果として公開した。
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