昨年度までに候補領域内の組み換え固定系統対について切り穂検定を行い、候補領域を12.7kbまで絞り込み予測遺伝子を1個に絞ることに成功したため、TILLING法で予測遺伝子に関する変異体をスクリーニングして複数見出した。昨年度の検定(切り穂検定法)では、原品種のコシヒカリ自体がもみ枯細菌病抵抗性が弱い品種であるため、変異遺伝子が原因遺伝子であったとしても、接種後の発病度の差が小さくなってしまい遺伝子の変異の病害抵抗性に与える影響がよくわからなかった。そこで今年度はTILLING法を用いて得られた合計8系統の突然変異体について、開花している籾を残しそれ以外は除去することにより籾の条件を揃える検定法(改良切り穂検定法)を用いて検定を実施した。また各々の突然変異体は変異原処理によって予測遺伝子以外の遺伝子の変異も多数発生していることから、各々の系統について予測遺伝子の変異ホモ型とコシヒカリ型を対について検定を行った。その結果、2系統が原品種のコシヒカリと発病程度が同じで、2系統がより抵抗性を示し、4系統が逆により罹病性を示した。今年度の結果から、予測遺伝子がもみ枯細菌病抵抗性へ関与する可能性が高いことが示唆されたが、明確な結論は得られなかった。その原因として、今回供試した突然変異系統はいずれもアミノ酸置換の変異体であり、null(遺伝子の途中で停止コドンが入っているなど)の変異体を選抜することができず、変異の入り方と病害抵抗性の関連についてはよくわからなかったことが挙げられる。次年度以降は、NGSデータを用いたGWAS解析等も行いつつ、原因遺伝子の相補試験を進めていく予定である。
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