平成27年度では、ダイズ着色粒の発生について研究を行い、以下の結果が得られた。 1. 青森県の奨励黄ダイズ品種である「おおすず」の原種生産圃場において、全生産粒に対する全面着色粒の発生率を調査した。その結果、濃い褐色の全面着色粒が0.0088%、薄い褐色の全面着色粒が0.003%であった。 2. 黄ダイズ系統である刈系557号(K557)の栽培集団中から見出された種皮着色突然変異体(K557)を用いて、全面着色粒の着色過程を調査した。K557Mから生産される全面着色粒について、種皮組織切片を作製後、プロアントシアニジン(PA)を青く検出するDMACA染色を行った。その結果、黄ダイズであるK557の種皮ではほとんど検出されなかったのに対し、全面着色粒であるK557Mの種皮では濃い青色に染色された。このことから、K557M全面着色粒の種皮ではPAが全面にわたり多量に蓄積することが判明した。つぎに生育段階においてPAがどのような蓄積過程を経て全面着色するのかを調査したところ、開花6日後のステージに臍およびその周辺からPAの蓄積が始まり、開花15日後のステージではすでに種皮全体にPA蓄積することが明らかになった。 3. in situ ハイブリダイゼーション法を用いて、K557M種皮におけるCHS転写産物の存在場所を調査した。その結果、開花3日後のステージではすでに種皮全面にわたってCHS転写産物が確認された。
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