研究課題/領域番号 |
15K07271
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山岸 順子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60191219)
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研究分担者 |
中元 朋実 京都工芸繊維大学, 応用生物学系, 教授 (50180419)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 作付体系 / 土壌肥沃度 / 休閑 / コムギ / トウモロコシ / 雑草 / ソバ |
研究実績の概要 |
何らかの理由で作付けされない畑地を再度農地として使用するためには、他の用途に利用されることなく、休閑地として生産力を保持した状態で作付体系の中にとどめおくことが望ましい。しかし、休閑期間中の管理方法は全く確立していない。休閑による土壌生産力の変化とそのメカニズムについて知見を得ることを目的として、作物栽培を継続する区を対照区とし、放任(無管理)、耕起(ロータリ耕)による裸地休閑、刈払除草に対応する処理区を継続期間3段階として設けた。そして、東京大学では2011年に、京都工芸繊維大学においては2012年より試験を開始し、異なる土壌において比較できるように圃場を設定して2017年冬作まで土壌の変化と休閑停止以降の作物生育・収量等から休閑期における管理方法を評価してきた。 その結果、休閑停止直後の作物生育からみた管理方法としては、ロータリ耕による管理が最も土壌生産力を維持していた。すなわち、作物の窒素吸収量が高く、バイオマス生産量が多かった。しかしながら、さらに作物栽培を継続すると、最も土壌生産力を維持していると考えられたロータリ耕の区において顕著な土壌生産力低下の傾向が認められた。つまり長期的な変化から見ると、刈払除草区や放任区では土壌肥沃度が維持あるいはやや向上することが明らかとなってきた。このことは土壌の団粒サイズが刈払除草区や放任区で発達することによっても支持され、また東京大学においても京都工芸繊維大学の圃場においても同様の結果が得られた。ロータリ耕の区と放任あるいは刈払除草区との差は雑草の存在であり、雑草は窒素などを相当量含有していることも明らかとなった。本来系外に流出する養分を雑草が保持しており、それが土壌の生産力維持に大きな影響を与えている可能性が高まった。ロータリ区において休閑直後に生産力が高かった原因についてはさらに慎重な検討が必要である。
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