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2016 年度 実施状況報告書

反芻家畜のタンパク質利用性に関わるマメ科植物のタンニンの組織・化学的特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K07272
研究機関三重大学

研究代表者

近藤 誠  三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50432175)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードタンニン / バーズフットトレフォイル
研究実績の概要

温帯性マメ科牧草のバーズフットトレフォイルは排水不良地や酸性土壌でも比較的よく生育し、日本のような土壌環境にも適応することが期待される。しかし、日本ではバーズフットトレフォイルは牧草用では栽培されておらず、緑化用に種子が輸入され市販されているものの、形質は安定していない。一方、本研究の連携研究者である宮崎大学農学部明石らのグループでは、バーズフットトレフォイルの中でも根の成長が旺盛な株(スーパールート)を単離し、育種しており、その飼料価値を明らかにすることで、安定した形質を含むバーズフットトレフォイル系統の作出が期待される。そこで、本研究では、スーパールート株の飼料価値として、タンニンの作用を明らかにすることを目的とし、同属異種のミヤコグサおよびアルファルファと比較検討を行った。
タンニン含量はバーズフットトレフォイルの葉部で1.3%DM、茎部で0.2%DMであった。一方、ミヤコグサやアルファルファでは、いずれの部位も0.02%DM以下でほとんど含まれていなかった。続いて、ルーメン微生物の培養系を用いて各植物体の葉部についてタンパク質の分解性をNH3濃度を指標に調査した。その結果NH3濃度は、バーズフットトレフォイル<ミヤコグサ<アルファルファの順であった。ここで、ルーメン微生物の培養系にタンニンと親和性が高いポリエチレングリコールを添加した結果、バーズフットトレフォイルのみNH3濃度の増加が確認されたことから、ルーメン微生物による葉部タンパク質の分解をタンニンが抑制していることが示された。以上の結果より、バーズフットトレフォイルのスーパールート株に含まれるタンパク質は、ルーメン内における分解性がアルファルファと比べると低く、その原因としてタンパク質の溶解性がタンニンにより抑えられていることで、ルーメン微生物のプロテアーゼによる分解を抑制している可能性が推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度では熱帯のマメ科植物を中心にサンプルの収集を進めた。本年度は草種数は少ないものの、温帯のマメ科植物に対象を広げ、ルーメン内におけるタンパク質分解性に対するタンニンの作用を明らかにした。今後は、より詳細なタンニンの分子構造上の特性や植物組織上でのタンニンの分布を顕微鏡下で観察するための試料調整の条件検討を行う必要が残された。

今後の研究の推進方策

最終年度では、1,2年目の研究を踏まえ、熱帯および温帯で栽培されるマメ科牧草および飼料として利用が期待されるマメ科作物を収集し、タンパク質やタンニン画分の分析を進める。同様にin vitroルーメン内におけるタンパク質分解性を評価し、ルーメン内におけるタンパク質分解保護作用のあるマメ科植物の探索の結果をまとめる。特にタンニンについてはその化学特性や存在分布の特徴を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

マメ科牧草に含まれるタンニンの分析において、前年度購入した試薬や器具類の残りを使用することができたため。また、サンプル採取のための出張が行わず、サンプルを協力者から輸送してもらっため、費用が抑えられた。

次年度使用額の使用計画

分析に必要な遠心分離機が故障したため、その新規購入に充てる。また、次年度はサンプリングおよび分析検体数や論文投稿、学会発表が増える見込みで予算の使用を進める予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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