暖地型マメ科牧草6草種(アメリカンジョイントベッチ、ファジービーン、グリーンリーフデスモディウム、バーガンディビーン、センチュリオン、サイラトロ)を対象に、含有成分とルーメン内でのタンパク質利用性について検証した。縮合型タンニンはグリーンリーフデスモディウムで高く検出され、8.3%DM(8月)、9.5%DM(9月)であった。葉部の縮合型タンニン含量は茎部よりも約2.5倍高く、葉部で13.4%DM、茎部で5.8%DMであり、成熟に伴う変化は認められなかった。またアメリカンジョイントベッチでも1%DM程度縮合型タンニンを含有した、その他の草種では検出されなかった。続いて、in vitroのルーメン培養系にてタンパク質分解率を測定した結果、6種類の暖地型マメ科牧草の間では、グリーンリーフデスモディウムが最も低い値を示した。さらに、タンニンの吸着剤としてポリエチレングリコールを培養系に添加した結果、タンパク質の分解率が向上したことから、グリーンリーフデスモディウムの低いタンパク質分解性はタンニンによる抑制であることが確認できた。また、ルーメン内で分解されたタンパク質のうち、ルーメン内に残存するアンモニアを指標に微生物によって取り込まれたアンモニア量を算出し、微生物によるアンモニアの取り込み効率を推定した。ルーメン内で残存するアンモニア量が低かった草種はファジービーンとグリーンリーフデスモディウムであった。グリーンリーフデスモディウムにはタンパク質の分解がタンニンにより抑制されていたために、培養系に残存するアンモニアが低い値を示したと考えられた。ファジービーンは他の草種と比べ微生物によるアンモニアの取り込み効率が高かったことで残存するアンモニア量を低く抑えており、その要因として、茎葉に含まれる可溶性糖類がルーメン微生物によるアンモニアの取り込みを促進している可能性が示唆された。
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