研究実績の概要 |
昨年度までに、Amy1AおよびAmy3Cプロモーターの-200~0bpの領域、Amy3Dの-600~-400bpの領域に登熟期胚乳での発現を規定するシス領域が含まれることが明らかとなっている。そこで本年度は、乳白粒発生に関与するα-アミラーゼ遺伝子群について成果公表するとともに、酵母ワンハイブリッドスクリーニングによって胚乳発現シス領域に結合する転写因子遺伝子を探索した。 1)高温で胚乳の白濁部位で発現が誘導されること、過剰発現すると乳白粒を生じることから、Amy1A、Amy3C、Amy3Dが乳白粒発生に関与するα-アミラーゼ遺伝子と推定されるとする成果を公表した。 2)上記シス領域を用いたスクリーニングによって、bZIP型およびABI3/VP1型等の転写因子が同定された。これらのうち、bZIP61はAmy3Cシス領域に結合し、その過剰発現イネを作出したところ、N末端短縮型転写産物の過剰発現で乳白粒を生じた。しかしながら、α-アミラーゼ遺伝子群に対する転写活性化能は弱かった。このため、bZIP61はα-アミラーゼ以外の遺伝子の制御にも関わり、乳白粒を生じることが示唆された。 以上のことから、高温に遭遇した登熟途中の種子において、Amy1A, Amy3C, Amy3Dが胚乳で発現し、蓄積デンプンを分解することが、乳白粒の発生を助長する要因となっていることが明らかとなった。また、Amy3C胚乳発現シス領域結合し胚乳外観品質を制御する転写因子としてbZIP61が同定された。
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