研究課題/領域番号 |
15K07288
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
松原 陽一 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (40301212)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ハーブ / 抗菌性 / 抗酸化機能 / 病害防除 / 二次代謝産物 |
研究実績の概要 |
シソ科ハーブの抗菌・抗酸化活性については、植物病害への検討事例は未だ乏しい。本研究では、ハーブ抽出液を用いた耐病性誘導のバイオアッセイ、ハーブ2次代謝成分のメタボローム解析と抗菌物質の探索を行った。 昨年度に抗菌性ハーブとして選抜したレモンバーム、オレガノ、セージ、ヒソップの茎葉部抽出液処理により、アスパラガス立枯病、イチゴ萎黄病及びシクラメン萎凋病に対する耐病性誘導のバイオアッセイを行った。検定を行ったアスパラガス、イチゴ及びシクラメンにおいて、特にレモンバーム、セージ抽出液処理により発病軽減効果が確認された。この場合、根圏土壌及び根中におけるフザリウム菌の菌量もハーブ抽出液処理区で有意に低下していた。これらのことから、セージ、レモンバームの茎葉部抽出液処理により発病抑制効果が確認され、耐病性誘導にはハーブ抽出液の病原菌増殖抑制による静菌作用が関連していることが示唆された。 オレガノ、セージ、ヒソップ、レモンバームの葉部抽出液について、UPLC-MS/MS (Q Tof)により2次代謝成分のメタボローム解析を行った。MS/MSによるフラグメント解析から、カフェ酸,ロスマリン酸が共通して含まれることが示唆され、カフェ酸、ロスマリン酸にはフザリウム菌への増殖抑制効果があることをin vitro検定で確認した。よって、耐病性誘導にはカフェ酸、ロスマリン酸による静菌作用が関与していることが示唆された。一方、セージ葉抽出液においてはルテオリン、フィセチン、フラキセチン、レモンバームではアピゲニン、オレガノではフラキセチン、フィセチン、ヒソップではフラキセチンが検出された。よって、4種ハーブではそれぞれ共通した抗菌成分を含有する可能性はあるが、ハーブ種により抗菌物質群が異なることも考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
28年度の研究実施計画に記載の、シソ科ハーブ二次代謝成分のメタボローム解析及び抗菌物質の同定並びに根圏微生物相解析について、当初の予定通り遂行できた。
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今後の研究の推進方策 |
H29年度の研究では、地上部病害であるイチゴ炭疽病及びシクラメン炭疽病へのハーブ抽出液による耐病性検定を行うとともに、有用微生物であるアーバスキュラー菌根菌とハーブ抽出液の併用による耐病性増強効果の検討を行う。この場合、土壌伝染性病害に対する抑制効果がこれまで総合的に高かったハーブ4種(オレガノ,セージ,ヒソップ,レモンバーム)をモデルとし、地上部病害への効果を検証するとともに、抗菌物質の探索を継続検討項目とする。一方、抽出液法とは対照的なコンパニオンプランツ法により、アスパラガス立枯病への耐病性誘導を圃場検定を含めて選抜ハーブで行い、耐病性誘導機構についても調査する。これにより、園芸作物の栽培場面に応じたハーブによる耐病性誘導法を確立する。
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