| 研究実績の概要 |
これまでに選抜された抗菌性・高抗酸化能である4種シソ科ハーブ（レモンバーム、オレガノ、セージ、ヒソップ）について、植物共生菌であるアーバスキュラー菌根菌4菌株の接種検定、耐病性誘導評価を行った。菌根菌感染は全てのハーブにおいて確認され、感染率にはハーブ種・菌種の組合せにより差がみられた。また、共生個体では茎葉伸長促進、葉数増加といった植物体生長促進効果が確認された。また、菌根菌共生によるハーブの抗酸化物質含量（総ポリフェノール、総アスコルビン酸、DPPHラジカル補捉能）については大きな変動はみられなかったが、LC/MSによるメタボローム解析では、数種2次代謝成分において菌根菌接種区での増大が確認された。
続いて、レモンバーム抽出液及び菌根菌の複合処理がイチゴ炭疽病耐性に及ぼす影響を調査した。レモンバーム茎葉抽出液（20％, w/v)単独処理区、菌根菌（Gigaspora margarita）単独処理区、レモンバーム＋菌根菌処理区の全てにおいて、イチゴ（‘とちおとめ’）における炭疽病発病・発病程度の軽減効果が確認され、複合処理区でさらに効果が高まる場合がみられた。
一方、コンパニオンプランツの圃場評価として、アスパラガス忌地圃場土（病原菌汚染土：長野県より採取）及び市販育苗土（立枯病菌を接種）に、レモンバームとアスパラガス（‘Welcome’）のコンパニオンプランツ処理を行った。その結果、アスパラガス単独区では、フザリウム菌に起因する立枯症状（根褐変、茎葉黄化）といった症状が忌地圃場土・市販育苗土の両区で重度に発現したが、レモンバームコンパニオン区では、両区で根褐変・茎葉黄化が軽減され、植物体乾物重も単独区より増大する場合があった。これらのことから、実際の忌地圃場でのハーブのコンパニオンプランツ法が、アスパラガスの忌地症状を改善できる可能性が示唆された。
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