研究課題/領域番号 |
15K07291
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
谷口 研至 広島大学, 理学研究科, 特任准教授 (10163627)
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研究分担者 |
草場 信 広島大学, 理学研究科, 教授 (20370653)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 栽培ギク育種 / 自家和合性 / キクタニギク |
研究実績の概要 |
キクの新品種の作成には,交配、芽条突然変異、放射線突然変異が利用され、クローン増殖技術(挿し芽)を利用して大量苗が生産されている。しかし、これら栽培ギク品種は自家不和合性であるために、F1 世代以降の子孫を得ることが困難で、しかもヘテロ接合体である。私は自殖性を示す二倍体野生ギク、キクタニギクを発見し、この自殖遺伝子を栽培ギクに導入し、純系化した自殖栽培ギクの作成を試みた。 昨年度作成したBC2F1子孫2ライン6個体のBC2F2子孫と別途作成したBC1F2子孫の双方について自殖性と有用な育種形質の遺伝的特性解析を行った。BC2F2子孫264個体の自殖性(APC(完熟種子数/頭花、achenes per capitulum)≦8)を示すと判断した系統は各ラインで55%、38%、BC1F2子孫1ライン31個体の自殖性個体は45%であった。得られた全ての後代子孫では交配親の栽培ギクに見られた管弁、八重、頭状花サイズなどの形質の分離が見られた。しかしまだほとんどがキクタニギクと親栽培ギクの中間的な形質としての発現であった。特徴的な栽培ギク親の管弁に関してはBC2F1世代で初めて管弁が見られた。しかし舌状弁の1~数小花と限られた発現であった。理論的には四倍体染色体がランダムに分配していると仮定した場合、1/256の確率で完全な管状花よりなる頭状花が出現することが期待されるが、286個体の開花個体では見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
四倍体新栽培ギク自殖系統の作成とこれらの系統の遺伝的特性解析に関しては順調に進んでいるが、昨年度問題となった自殖人為六倍体利用による新品種育成は、新たに発見した野生ノジギクの自殖六倍体に置き換えて、栽培ギクの交配を行う。最短で候補形質のホモ化系統の作出は1年遅れとなり最終的な品種固定には至らないが、候補形質の自殖化の確認は出来るので、本課題としては大きな問題ではない。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り実験を進める。本年度に確立できたBC2F2世代(栽培ギク交配から3世代目に選抜された自殖四倍体ライン)の候補形質のホモ化が期待されることから、これらのラインの遺伝的特性解析を行い、有用候補形質として選抜された自殖性四倍体の後代子孫を栽培ギク母本とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
雇用予定の変更のため
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次年度使用額の使用計画 |
植栽植物が予定より増加したために、圃場関連消耗品の補充
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