Ⅰ 健常高齢者の前頭前野を活性化させる効果的園芸作業の選定:今までに報告した我々の研究では、高齢者では、播種やかん水時に前頭前野の賦活が、間引き、定植、除草時に比べて高いことがわかっている。このことを踏まえて、1)健常高齢者(Ⅰ群)を対象に、園芸作業(播種、かん水)を繰り返し(5回)行った際に、慣れによる作業中の脳血流に低下がみられるか否かについて検証した。2)別の健常高齢者(Ⅱ群)を対象に、園芸作業(播種、かん水)中、および、花・野菜・果物名の想起中の脳血流測定を行ない、園芸作業中に前頭前野が賦活することを検証した。同時に、認知機能検査としてFive-Cogを実施した。現在、1)と2)について、データの分析を行っている。2)の高齢者については、認知機能改善につながる園芸療法プログラム(平成28年4月から実施)を考案した。 Ⅱ 軽度認知機能高齢者を対象とした園芸療法による認知機能改善効果の検証:認知機能低下がみられる高齢者および認知症高齢者(Ⅲ群)を対象に、園芸作業中、および、花・野菜・果物名の想起中の脳血流測定を行った。同時にTDASを用いて認知機能検査を行った。現在、データの分析を行っている。この被験者向けに、認知機能改善につながる園芸療法プログラム(平成28年4月から実施)を考案した。 Ⅲ 学会発表:日本園芸療法学会にて、「認知症予防のための園芸療法 ‐注意機能と前頭前野賦活からの考察‐」と題し、園芸作業中の前頭前野賦活状況から,効果的な認知症予防につながる園芸療法プログラムのあり方について口頭発表した。
|