本年度は、同じ園芸作業を同一日で繰り返して脳血流を測定するのではなく、実際に3か月間同じ作業を繰り返し行った際の、その前後の前頭極賦活を測定した結果を分析、論文化した。3か月同じ繰り返した場合にも前頭極賦活が続くのであれば、園芸作業時の賦活は持続的であり、認知刺激となる可能性が高いことになる。 被験者は63歳-84歳の高齢者で、3か月間自宅でのかん水作業を依頼した。その前後で、自宅で行うかん水と全く同様のかん水課題を提供し、その時の脳血流を測定した。 3か月間自宅でのかん水作業を行った結果、介入後の脳血流測定時には、単位時間当たりのかん水回数が向上し、活動パフォーマンスが向上した。さらに、右半球前頭極外側部の血流低下が介入前ほど起こらず、抑制されていた。このことから、加齢とともに血流低下や機能低下が起こる高齢者の前頭極においても、園芸作業を続けることで、血流低下が抑制され、前頭前野の機能が回復する可能性が示唆された。
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