研究課題/領域番号 |
15K07306
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研究機関 | 独立行政法人酒類総合研究所 |
研究代表者 |
小山 和哉 独立行政法人酒類総合研究所, 研究部門, 主任研究員 (30416424)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 二次代謝 / 環境応答 / フェノール化合物 / 香気成分前駆体 / 遺伝子発現解析 / ブドウ |
研究実績の概要 |
昨年度までの検討において、各種環境下における発達時期別の果実サンプルを用いて、各種フェノール化合物及び香気成分前駆体など二次代謝成分の組成の変動の詳細を明らかとするとともに、同サンプルを用いて、網羅的な遺伝子発現解析を行った。これらの遺伝子発現解析データを用いて、フェノール化合物やテルペノイドの変動に同調した発現変動を示す遺伝子について抽出を行った。果房周囲の光条件を完全遮光処理によって変更することによって、果実中では、フェノール化合物やテルペノイドの大幅な減少がみられたが、これらの成分は発達時期によっても変動した。そこで、生育期に発現が高く、かつ光環境の変化に応じた変動を示す遺伝子群に着目し、その抽出を行った。近年、ブドウを含む植物において、bZIP型の転写制御因子がフェノール化合物の生合成系構造遺伝子及びその制御因子(MYB遺伝子)を制御しているという報告があることから着目して調べたところ、他植物で光応答に関連すると考えられる遺伝子のブドウのホモログが含まれていることがわかった。そこで、定量PCRにてブドウ組織での発現をみたところ、この遺伝子は、花、幼葉、幼茎、まきひげなどで発現が高く、果実中では果皮、種子で発現が高かったが、特にベレゾン期周辺で発現が極大となることがわかった。また、果皮中で遮光、遮光解除処理に応答して発現量の変動がみられることがわかった。引き続きその機能の解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
種々の栽培処理した果実中のフェノール化合物や香気成分前駆体の詳細な解析を行い、その結果のとりまとめ及び論文化するにあたって時間を有したため、実験計画に遅れが生じている。本年度、フェノール化合物やテルペン類などの制御に関連すると考えられる転写制御因子を絞り込んだが、その詳細な機能解析までは至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、遺伝子発現解析結果をもとに、香気成分の生成・制御に関連する候補遺伝子のスクリーニングを行う。また、着目したbZIP型転写制御因子について、形質転換体作成等による機能解析を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
種々の栽培処理した果実中のフェノール化合物や香気成分前駆体の詳細な解析を行い、その結果のとりまとめ及び論文化にあたって時間を有したため 来年度、遺伝子発現解析消耗品類、定量PCR等の酵素類、遺伝子クローニングキット購入など候補遺伝子の機能解析に関する費用に主に使用する予定としている。
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