研究課題
2016年(平成28年)度は、本研究における仮説2「雑草根との共生は土壌病原菌の感染源ポテンシャルを増大させる」の検証を行った。具体的には、ウリ科植物ホモプシス根腐病菌の片利共生が明らかになった雑草種の中から、種子が比較的容易に準備できるオオバコ、イヌムギ、ヤハズエンドウを選抜した後、リアルタイムPCR法による病原菌の定量および幼苗検定-最確値(MPN)法によって、雑草根によるこれらの病原菌の感染源ポテンシャルへの影響量を調査した。その結果、病原菌汚染土で生育させた3種の雑草を殺菌土に移植した後にメロンを定植してもホモプシス根腐病の発病が認められ、かつ、病原菌の感染が確認された。したがって、これらの雑草は第一次感染源になり得ることが証明され、本菌の感染源ポテンシャルを増大させていることが示唆された。また、宿主植物および雑草根に多数寄生しているネコブセンチュウが、本菌の感染の及ぼす影響を調査したので、その結果を研究論文としてPlant Pathology誌に発表した。
2: おおむね順調に進展している
2016年(平成28年)度は、本研究における仮説2「雑草根との共生は土壌病原菌の感染源ポテンシャルを増大させる」の検証を行った。具体的には、ウリ科植物ホモプシス根腐病菌の片利共生が明らかになった雑草種の中から、種子が比較的容易に準備できるオオバコ、イヌムギ、ヤハズエンドウを選抜した後、リアルタイムPCR法による病原菌の定量および幼苗検定-最確値(MPN)法によって、雑草根によるこれらの病原菌の感染源ポテンシャルへの影響量を調査した。その結果、病原菌汚染土で生育させた3種の雑草を殺菌土に移植した後にメロンを定植してもホモプシス根腐病の発病が認められ、かつ、病原菌の感染が確認された。したがって、これらの雑草は第一次感染源になり得ることが証明され、本菌の感染源ポテンシャルを増大させていることが示唆された。また、宿主植物および雑草根に多数寄生しているネコブセンチュウが、本菌の感染の及ぼす影響を調査し、その成果をPlant Pathology誌に発表した。
2017年度は、ホモプシス根腐病菌にGFP遺伝子を導入し、その形質転換株を用いて、本菌が雑草のどの部位に共生しているのかを共焦点レーザー顕微鏡を用いて明らかにする。また、最終年度として、本研究で得られた成果を3論文程度にまとめ、国際学術誌に発表する予定である。
2017年度は最終年度として、これまでに明らかになった雑草根でのホモプシス根腐病菌の感染源ポテンシャルの増加について、可視的な検証を加えるために、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を導入した形質転換株の作出と、それを用いた共焦点レーザー顕微鏡による観察を行う予定である。また、これまでの研究成果を論文としてまとめ、国際学術誌に発表するために係る費用も見込まれるため、次年度使用額が生じた。
最初にホモプシス根腐病菌の緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子導入株の作出を行い、共焦点レーザー顕微鏡によって、雑草根における本菌の共生部位を明らかにする。また、平行してリアルタイムPCRによって本菌の感染量を測定し、感染源ポテンシャル値の増加を量的に把握する。一方、これまでに明らかになった研究成果を論文として3報程度にまとめ、公表する。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)
Plant Pathology
巻: 66 ページ: 606-611
10.1111/ppa.12610
Journal of Plant Physiology
巻: 192 ページ: 90-97
10.1016/j.jplph.2016.01.009