研究課題/領域番号 |
15K07319
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松井 英譲 岡山大学, 環境生命科学研究科, 助教 (20598833)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | リン酸化プロテオミクス / エフェクター / Rタンパク質 / 耐病性 |
研究実績の概要 |
効率的な病害抵抗性育種は、食糧危機を回避するための重要な課題の1つである。最新のプロテオーム解析手法により初めて同定した病害抵抗性制御因子MARK1の機能解析を手掛かりとして、「エフェクター」ー「Rタンパク質」相互作用による過敏感反応の発動を調節する分子機構の理解を深め、単一のR-gene導入に因らない「R-gene mediated resistance」の強化に向けた新しい抵抗性賦与技術の開発を目指す。 本年度は、昨年度同定した相互作用因子MIP1(MARK1-interacting protein)に関する研究を進めた。MARK1との相互作用に必須なアミノ酸を置換した組み換え個体の作出に成功した。本MARK1形質転換体は、野生型と同程度の生育を示し、mark1変異体のような矮性形質を示さなかった。そこで、非親和性の病原性細菌をスプレー接種することで、mark1変異体で認められる細胞死が抑制されるか確認した。これまでのところ、MARK1形質転換体では細胞死が完全に抑制されない傾向が認められた。本結果は、MARK1とMIP1の相互作用が細胞死の制御に重要であることを示唆している。現在、T4種子の単離と共に、再現性について解析を進めている。 また、mark1変異体とmip1変異体を用いたRNA-seq解析を進めている。これまでの結果、野生型と比較して、mark1変異体とmip1変異体では、共通した遺伝子の発現が変動していること明らかとなってきた。現在、mark1変異体とmip1変異体に共通する発現プロファイルを示す遺伝子に関して、詳細な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アミノ酸配列を置換したMARK1形質転換個体のホモ系統の単離に成功した。現在までのところ、MIP1タンパク質との相互作用を欠失させたMARK1形質転換体は、生育に関しては、野生型と同程度であることが明らかとなってきた。一方で、mark1変異体の非親和性病原性細菌の噴霧接種に伴う細胞死が亢進する表現型を抑制することができない傾向が認められた。本結果は、MIP1タンパク質とMARK1タンパク質の相互作用が、病原菌感染時の細胞死の調節に重要である可能性を示唆している。しかしながら、ホモ化したMARK1形質転換個体から得られる種子数が予想より少なく、想定よりも解析は進んでいない。現在、種子を得るべく、植物体を育成中である。 また、RNA-seq解析を進めたところ、mark1変異体と同様の表現型を示すmip1変異体は、当初の予想以上に、遺伝子発現パターンが共通することが明らかとなった。本結果は、MARK1とMIP1が共通した経路の遺伝子発現を制御していることを示唆している。ただ、非常に多くの遺伝子が共通した発現プロファイルを示しており、ターゲット遺伝子の絞り込みにより詳細な解析が必要となっている。
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今後の研究の推進方策 |
MARK1、MIP1に関するT3の形質転換植物の作出を継続すると共に、ホモ系統が単離済みの植物については、遺伝子発現、タンパク質蓄積、病原菌接種試験を進める。それにより、MARK1ならびにMIP1の制御メカニズムについて解析を進める。 RNA-seqの解析結果について、より詳細なデータ解析を進め、MARK1, MIP1によって制御されるターゲット遺伝子の絞り込みを進め、それら遺伝子の制御メカニズムについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度で行う解析の物品費に使用するため。
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次年度使用額の使用計画 |
MARK1タンパク質ならびにMIP1タンパク質検出に利用するための抗体の購入など、タンパク質検出に関わる試薬の購入費用に充てる。
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