研究課題
効率的な病害抵抗性育種は、食糧危機を回避するための重要な課題の一つである。最新のプロテオーム解析手法による過敏感反応の発動を調節する分子機構の理解を深め、単一のR-gene導入に因らない「R-gene mediated resistance」の強化に向けた新しい抵抗性付与技術の開発を目指した。本研究で同定したPSIG1(MARK1から名称変更)は分子機能未知の因子である。相互作用因子を単離した結果、SMG7と相互作用することを見出した。SMG7はRNA分解制御に関わる因子である。タンパク質間相互作用を確認したところ、PSIG1 Tyr-575ならびにSMG7 Gly-933が相互作用に重要であることを明らかにした。smg7 null変異体は、擬似病斑を形成し、一連の防御応答が活性化する。そこで、表現型が弱いと予想されたC末端側のみを欠損するsmg7-4変異体を単離した。smg7-4変異体は、PSIG1との相互作用に必要なGly-933を含む領域が欠損している。非親和性病原性細菌をスプレー接種したところ、野生型では観察されない細胞死が、psig1-1変異体と同様にsmg7-4変異体でも亢進することが明らかとなった。次に、psig1-1変異体にPSIG1Y575Aを導入した相補個体を作出し、SMG7との相互作用が細胞死の制御に重要であるか確認した。その結果、非親和性病原性細菌を接種したところ、psig1変異体同様にPSIG1Y575A相補個体でも細胞死が亢進した。以上の結果は、PSIG1はSMG7と共にRNAの分解制御を介して、病原菌感染時の細胞死の調節を担う働きを有することを示唆している。現在、細胞死の引き金となる因子の同定をRNA-seqを用いて進めている。
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PLoS Genetics
巻: 13 ページ: 1-29
https://doi.org/10.1371/ journal.pgen.1007037
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id498.html