研究課題/領域番号 |
15K07331
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
鈴木 倫太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度解析センター, 上級研究員 (00399429)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 化合物のクラスタリング / 3次元分子の作成 |
研究実績の概要 |
昨年度までに一般に利用できる化合物ライブラリ(ZINCが約2270万品目、ナミキ商事のSupplier在庫が515万品目など)から農薬として適した物性値を持たない化合物(パラメータ設定により20%から4.4%)のを除外したうえで、実行速度の速いツールbayonを用いたクラスタリング結果を検討し、ナミキ商事のライブラリの場合50万から150万品目程度のクラスターに分割するのが適当であることが分かった。 今年度は分割した各クラスターから代表構造を取り出すのにあたり、当初は固有ベクトル中心性を用いることを想定していたが、実際に計算してみると必ずしも適当とは思われない分子が選ばれることも多いことが判明した。そこで固有ベクトル中心性を参考にしつつ、代表性が高いと考えられる分子を選択するアルゴリズムを考案した。プログラムにはpython-igraphを用いた。クラスタリングの結果と代表構造の選抜結果を各クラスターごとにhtml形式でわかりやすく表示するとともに、gml形式で出力して必要に応じて適宜参照・検討できるようにした。 次いで代表構造を3次元の分子にするため、まず光学異性体についてキラル中心の数をNとすると2N個の可能性があるが、そのすべてが存在できるとは限らないものの、あらかじめどの組み合わせが可能か知ることもできないので、すべての組み合わせについて3次元分子の作成をrdkitで試み、所定の回数以内で目的の組み合わせが実現できるかどうか、できた分子が歪んでいないかを判定するアルゴリズムを考案した。さらに、これらのライブラリ中には異性体の数が数万程度のものも存在することが判明したので、各化合物についてエネルギーの高い異性体の集団を除外することとし、分子数の1.5倍程度の異性体数となるように調整した。 今後得られた3次元分子を用いてドッキングシミュレーションを実行する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
クラスタリング結果からの代表構造の選抜に適当な既存の手法がないことは当初想定しておらず、アルゴリズムの考案、プログラミングに時間を要した。また、特に光学異性体について、複数のキラル中心があるものの、実際にはR/Sのいづれかしかとることができないキラル中心と両方可能なキラル中心が混在する化合物についても当初想定しておらず、その場合可能なすべての光学異性体を得ることが簡単にはできないことが判明した。これについてもプログラミングに時間を要したため、実際のドッキングシミュレーションにまでは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに計算機実験および活性測定、立体構造解析を進めていく。今年度はアセト乳酸合成酵素の野生型および薬剤抵抗性変異体について計算を行い、候補化合物を購入、活性測定を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
スクリーニングにより選定した化合物の購入に充てる予定であったが、進捗状況に記したとおり、当初計画で想定していなかった点が二つあり、選定に至らなかったため購入できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
進捗の障害となった二点は解決できたので、ドッキングシミュレーションによるスクリーニングを実施し、選定した化合物を購入する。
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