ナミキ商事のライブラリ(2019年4月時点で約779万化合物)から取り出した代表化合物60万個を異性体を考慮して3次元化した分子約106万種について昨年度autodock-vinaを用いてアセト乳酸合成酵素(ALS、PDB ID:3EA4)に対するドッキング計算を行い、化合物の昨年度内の納入が新型コロナウイルスの蔓延により難しくなったことから、スクリーニング試薬購入のため1年間の延長を行った。時間の余裕ができたので当初予定していたmyPrestoによるドッキング計算も行い、autodock-vinaの結果と併せて評価を行う合議制を実施することで、阻害活性の高い化合物を効果的に探索することを狙った。計算結果を解析し、さらに目視による確認も行い、最終的に176の化合物を選抜、うち実際に購入可能だった174の化合物を購入した。これらの化合物について60 μMの濃度でALS活性の阻害能を測定し、市販農薬の一つ、ベンスルフロンメチルと比較した。その結果、対ベンスルフロンメチル比で90%以上の阻害を示す化合物が13個含まれており、最も高い阻害を示す化合物は対ベンスルフロンメチル比が131%だった。今後IC50を求めるなどさらに詳しく検討する必要はあるが、本手法で効率よく阻害剤を探索できることが示された。また、同様の計算を抵抗性雑草の主要な原因となるアセト乳酸合成酵素の変異体(P197A、P197S、W574L)に対しても行い、解析した。変異体の構造はDiscovery Studioを用いて計算機内で構築した。今後目視による選抜、変異体に対する阻害能を確認したい。
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