アーバスキュラー菌根(AM)菌の外生菌糸から浸出される酸性ホスファターゼ活性の菌種間差の解明を目的とした。30μmのナイロンバックによって菌根区画(MC)と菌糸区画(HC)に分けられたポットに滅菌黒ボク土をそれぞれ加えた。AM菌Rhizophagus clarus CK001(Rc)、R. irregularis DAOM197198(Ri)、およびParaglomus occultum 19-a(Po)をそれぞれ接種した区と非接種区を設けた。MCおよびHCの土壌中にムライトセラミックチューブを設置し、ネギを播種した。播種後40から55日目まで5日おきにムライトセラミックチューブから土壌溶液を回収し、p-ニトロフェニルリン酸を基質としたACPの活性評価とSDS-PAGEに供試した。また播種後55日目にポットを解体し、菌根形成率、地上部リン含有率、地上部乾物重、および外生菌糸長を測定した。 【結果および考察】菌根形成率、地上部リン吸収量、および地上部乾物重は非接種区よりも接種区で高かった。土壌溶液中ACP活性はMCではRi接種区が、HCではRc接種区が最も高く、Po区は非接種よりも低かった。これらの結果はSDS-PAGEの結果と一致していた。Rcの外生菌糸長はポット内で均一だったのに対して、RiおよびPoでは根から離れるにつれて減少した。これらの結果は、外生菌糸からのACPの浸出は菌種ごとに異なること、またその浸出は外生菌糸の先端で起こることを示した。
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