研究課題
GREI(Gamma-Ray Emission Imaging)装置による撮像については多数のデータを蓄積してきたことにより、撮像エリア内の位置や核種の違いに起因する放射線強度の差を補正した画像再構成手法の確立が必要であることが判明し、そのための補正式を導入した。また3次元での動態解析についても、平面サンプルを対象とした画像再構成で必要となった補正項目を組み込んだ画像処理法について検討した。実際に植物体を用いた複数核種同時イメージングとしては、Na-22、K-42、K-43、Fe-59、Zn-65、Cd-109、Cs-137を用いた撮像を行い、可視化に成功している。主に用いたミヤコグサではFe-59、Zn-65、Cs-137を根から同時吸収させた場合のイメージング実験を行い、部位ごとにCs-137の移動速度で標準化されたFe-59およびZn-65の相対移動速度を求める手法を開発した。非侵襲でのリアルタイム撮像後に部位ごとに切断して含有放射線量を計測した結果とも良好な相関関係を得た。GREI装置を用いて検証を進めているミヤコグサの複数元素蓄積能の系統間差については、シロイヌナズナで報告されていた鉄輸送機能の欠損という単一の機能の差異によるものではなく、複数の機構が関与した結果であることが示唆され、根圏から根の細胞内へ吸収する、あるいは維管束を介して根から地上部へ輸送するといった個々の金属輸送過程における元素特異性について解析を進めた。特に、根端を対象とした鉄の局在解析からは根表層および維管束周辺における鉄輸送の停滞が一因であることを示唆する結果が得られた。
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Plant and Cell Physiology
巻: 58 ページ: 1486-1493
10.1093/pcp/pcx094